NHKテレビ番組「ファミリーヒストリー」
ゲストのルーツを探る
みな 先祖が子のために家族のために
必死に歩んで来た過去を初めて知って
涙する
わたしの父は還暦を迎えずに亡くなった
わたしが32歳のときである
まだ私は独身だった
父は子どもの前では やさしかった
外では厳格 中に外の嵐を持ち込まなかった
自分がやりたくてもできなかったことを
子どもにはやらせたいと
子どもに希望を託して
そのように環境を整えてくれた
わたしは自然に
その父親の期待に応えようと努力していった
その父がどういう人生を歩んできたか
一度も話してくれなかった
父は四人の若い衆を弟子に持ち
若い衆から、「大将」、「大将」といわれていた
わたしが小学生のとき
夕食の場で
その日に何か気に入らないことがあって
それを思い出したのかなんなのか
急に腹を立てて
持っている茶碗を投げつけたり
ちゃぶ台返しをする日もあった
わたしはそれを
子どもとしての素直な気持ちとともに
作文で書いた
すると担任が両親と話したらしい
ある日 父が言った
もうしないから、作文には書くな、と
それ以来、食卓は平和になった
そんな父の人生に何かがあったのか
子どもは知らない
親は子どもには苦労話はしないのだ
子どももいじめにあっていたとして、親には話さない
辛い思いを押し殺して、親の前では
何も無かったように振る舞う
それが やさしさなのだ
「父性の復権」(林道義著)によると
日本人には特有な「やさいしい繊細な美しい感覚」があるという
それは自然へのやさしい眼差しが、日本文化への愛着と対になって
自然との融和的な付き合い方によって育まれてきたものであるという
そしてそうした細やかな美しい感覚を伝えるのは
父性の役割の一つであるという
NHK連続テレビ小説「ブギウギ」
ヒロインの父(養父)が亡くなるときの一場面
ワシのホンマの子や
何も言う必要ない
一番やさしい子や
親にさせてくれた
血よりも濃いもの
心で繋がっている
心と心で繋がっている
そして父娘で歌う
父ちゃんブキウギ、父ちゃんウキウキ
父ちゃんズキズキ、ワクワク
海を渡り響くは、父ちゃんブキウギ~
君も僕も 愉快な父ちゃん ブギウギ
ブギを踊れば~世界は一つ
同じリズムとメロディーよ
手拍子とって 歌おう!! 父ちゃんのメロディ
父ちゃんブキウギ、父ちゃんウキウキ
父ちゃんズキスギ、ワクワク
世界のうた楽しいうた 父ちゃんブキウギ
わたしはこの場面で
亡き父を思い出して泣いた
父はわたしの中で
愛する父として永遠に生きている