夢をみた まだ幼くて 抱っこを甘える娘が 白いモコモコの靴下のまま 暖かい服装で 私の横に歩いてきた 腰から ひもで折りたたみの 小さな椅子をつけて 引きずっている 「どこに行くの?」 と聞くと 「お母さんを探しに」 という 「お母さん 調子悪いの?」 と聞くと うん とうなずく 「そうか 探しに行こう」 そして 一緒に歩いた しかし 夢の中では お母さんのところには行けなかった お母さんは 入院していた それも 結核病院 ・・・ 娘は 椅子をもって 母の傍らにいようとしたのだ ・・・ しかし隔離されているから 会えない 母は静かに横になり 娘を微笑んで 見つめながら 涙を流すことしかできなかった ・・・ そして ふと 私は気づいた 夢の中の娘は 今の私の妻なのだ そして 横になって涙を流しているのは 妻の実母 なのだ 妻の実母は 幼い頃の私の妻と 男の子4人を残して 旅立っていた ・・・ また 娘が 先ほどと同じ格好で 歩いてきた 椅子はひきずってはいないが 一人で歩いてきて 「園長先生におはようございます! って あいさつしたい」 と言う 「そうか 一緒に行こう」 と 園長先生に会いに行く その園長先生には入園初日から 母元から離された娘が 一日中 一週間 泣き続けて つきっきりで お世話になったのだ 「おたくの娘さんは大変よ」 と言いながらも 快く お世話してくれた先生だった 園に行くと ちょうど面談を終えた 園長先生が その面談者を見送りに 玄関のところに出て 入ろうとするとするところだった すかさず 私は 声をかけた 「園長先生! 娘が挨拶したいとのことです!」 娘は元気よく「おはようございます!」 と挨拶した 園長先生も「おはようございます!」 と返した 私が「宜しくお願いします」 と言うと 娘も 「よろしくお願いします!」と言った 娘は 園長先生に お母さんのように大切にしてくれて ありがとう と言いたかったのだ ・・・ そう! 夢はつながっている 園長先生は 亡くなった実母の代わりだ 夢の中の娘は やはり 今の私の妻なのだ 妻は 幼いときからも それからも 今も ずーっと 前向きで元気だが そんな 人生を歩んでいるのだと思う 祖母の人生が 母の人生につながり 母の人生が 娘の人生につながっていく それが 家族というものであり 血縁 なのだ 決して 人は 自分一人で生きているのでは ないのだ そんなことを 思わされるような夢だった