ノアは
川辺に舟を造ろうとせず
山に造った
これは誰からも反対されざるを得ない
常識で考えて 正常ではない
ノアじいさんが
山の上に舟を造りつづけるのを見て
老若男女を問わず 誰もが
「狂ったやつだ」と後ろ指を指した
そして 足蹴にして
ありとあらゆることをした
妻も子も家族も
隣人も 親戚も
ノアを排斥した
＊＊＊
しかしノアは
一度でもその仕事を放棄しようとは思わなかった
サタンは
「こいつ よくやるな」
「どれくらい神さまを愛するか 見てやろう」
「お前が 120年間で箱舟を造れるか 見てやろう」と
試験した
世の中全体が ノアを打った
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このような激しい迫害と
混乱した環境の中でも
義人であり正直な人であり
善人であったノアは
少しもずれることがなかった
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神様はノアに
もともと歩むべき人生の受難よりも
平坦な道をもって命令されたのではない
それよりもっと難しい内容があったので
それを条件にして
解決できる一つの方便とすることを願う心をもって
ノアに
120年間 受難の道を行け
と命令されたのである
神さまはノアが
その生涯を捧げて
耐えがたい道を行かなければならないことを
誰よりも ご存知だった
そのような神様の心は どれほど悲惨か
言うに言われぬほど 悲惨だった
だから
ノアがその命令を受け入れるか否かという緊張した瞬間において
ノアが 素直に応じる立場をとったとき
ノア以上に喜ばれた方が
神さま
なのである
また
ノア以上に悲しまれる方も
神さま
なのである
ノアは
そのようにして
神の立場と同じ立場
喜びと悲しみに責任を持つ主人の立場に立った
そして
いつも悲しい心情で
涙を流しながら
自らを犠牲にしていったのである
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ノアは
ご飯を食べることもそこそこにして
舟を造るために山に登った
「120年間で舟を造れと神さまは命令されたが その期間を短縮しなければ」
と 夜も昼も
全身全霊を尽くした
渾身の力を注いだ
そのようにして
天性の志操をノアは立てた
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ノアは長い間
サタンと闘い
ついに
すべての困難を克服して
その使命を完遂することに成功した
箱舟を完成させた
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＊＊＊
このようにノア一人に対して
サタン世界は
たたくことのできるすべての方法を動員して
反対するだけ反対したが
ノアは少しもずれることがなかった
その基準は
天宙における絶対的な中心として 立てたものであり
宇宙における正義の人間として 立てたものであり
真の勝利者として 立てたものである
このようにして
ノアはサタンを分立させた
そしてこの基準に反対するすべての怨讐の要素を清算する機会が訪れることになる
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洪水が起きた日は2月17日だった
その日に大いなる淵の源は
ことごとく破れ 天の窓が開けて 雨が地に降り注いだ
ノアは子らと 妻と 子らの妻たちとともに
洪水を避けて 箱舟に入った
また すべての獣と 鳥と 地をはう すべてのものとの雄と雌とが
二つずつ箱舟に入った
雨は40日40夜 地に降り注いだ
水は増し ついに箱舟を浮かべた
そして箱舟は 地から高く上がった
また 水がみなぎり 地に増したので 箱舟は水のおもてに漂った
水はまた ますます地にみなぎり
天の下の高い山々は 水におおわれてしまった
そのため
地の上に動く すべての肉なるものは
鳥も家畜も獣も 地に群がるすべての はうものも
また 人も滅んだ
ただ箱舟にいたものだけが残った
その後 水は150日の間 地上にみなぎった
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＊＊＊
神さまは
全世界を救うために
自らを喜んで犠牲にする人を通して
より多くの人々を救おうとされたのである
しかし
結局 洪水により助かったのは
ノアの8家族だけであった
