20240121

善と悪のコスモロジー(5)

神をどこかに隠して
その存在を見えないようにしてしまいたい
人には 神の存在をわからないようにしてしまいたい
見つけられなくして
誰も神を求めないようにしてしまいたい

人が未熟なのを利用して
真実に到達する前に盲目にし
サタンは 人が神に近づけないようにし
神から遠のけようとした

そうして
神の世界に
サタンによる堕落の世界が生じた
その世界は
神の世界とは真逆の世界である

アダムから十代目にノアが誕生した
その間
地上では悪が猛威を振るい
サタンは 神のものを片っ端から消し去っていった

サタンには 妥協するということがない

サタンの世界をつくるために
神の痕跡をことごとく取り除きにかかった

地上は サタンにやられた

悪が地にはびこり 人は悪に支配され もてあそばれた
人はサタンのしもべのように生き
サタンを神のように崇め
愛を失った
他人のものを奪い合い
傷つけ合い
力の強い者が弱い者をいじめ
人のまこごろを踏みにじった
人は 獣のように いやそれ以下のようになり
暴虐が地に満ちた
そこでは 平和 明るい未来などというものは
考えられもしなかった

まさに地上は 地獄と化した

***

そんな世界で
ノア だけは
その時代の人々のなかで正しく
かつ 全き人であった
彼は 神とともに歩んでいた
ノアは 神の前に恵みを得ていた

***

その日
ノアは森のなかにいた

初夏
木々の間をぬって
爽やかな風が吹いてくる

清らかな自然の優しさを
ノアは感じ 感謝した
そして 上空を見上げた
そのとき

神がノアにのぞんで言われた

***

※古川健治氏著「天啓 創世記物語Ⅰ、Ⅱ」より引用