硝子体手術は
ブルー色素で 透明な組織を染色して行われた
もちろん説明を受け 同意してのことである
涙で感激していると
看護師の声が聞こえた
「先生! ○○水(手術用)が空です!」
「えっ?」医師が言う
「警告音 鳴った?」
看護師が言う
「鳴りませんでした!」
医師が言う「そうだよね 鳴らなかったよね」
「こんなこと これまでになかったよね」
「すぐに補充して」
そしてしばらくして医師が聞いた
「補充した?」
看護師が答えた「はい!」
医師がつぶやく
「なんで鳴らなかったんだろう 初めてだ 不思議~」
医師は それから その観念から逃れるためか
他愛のない会話を始めた
「○○くんは ○○に応援にいったの?」
-「はい」-
「これからは人出が足りなくなるから 応援は行けないよね」
-「はい」-
そんな具体的な会話を始めだした
ということは手術は成功裏に進んでいるということかな
と 私は二人の会話を聞きながら思ったりした
***
手術が終わった
医師は
「点滴必要なし うつぶせ寝必要なし」
「明日 朝診察します」
そう言って 私を送り出した
手術は成功したのだ
手術室の扉が開いた
目の前に 車椅子を押して私を運んできた看護師が立っていた
私は 泣き顔をして涙していた
看護師は驚いて 「どうされました!?」
と 目の前に近づいて 聞いてきた
私は 震える声でやっと答えた 「凄い」
「えっ 何が?」
「○○医師…」 「凄いですね」
と やっと答えたのだった
そういうふうに答えるのが 精一杯だった