「奇跡は、死んでから起きるんじゃなくて、生きているうちに起こせる。」
これは小川糸さん作の「ライオンのおやつ」からの一文である。
NHK BSプレミアムで放送された「ライオンのおやつ」というドラマが先週で全8話終了した。私はドラマを見て感動し、ドラマの途中から本を入手して一気に読んだ。
ドラマは前半はとても感動的だったが後半は失速した。本の方は後半のほうが素晴らしかった。公共放送だからか霊界のことは避けたのだろう。
ろうそくについては本にはこのように綴ってあった。
「人生は一本のろうそくに似ている。ろうそく自身は自分で火をつけられないし、自ら火を消すこともできません。一度火が灯ったら、自然の流れに逆らわず、燃え尽きて消えるのを待つしかない。時には、機せぬことで大きな力が作用して、いきなり火が消えてしまうこともあるでしょう。」
「生きることは、誰かの光になること。自分自身の命をすり減らすことで、誰かの光になる。そうやってお互いにお互いを照らし合って生きているのです。」
「ろうそくの火が燃え尽きて、最後はすーっと、静かに息を引き取るように消えて、煙が空に吸い込まれていく。あの空に消えていくひとすじの煙こそ、人間でいうところの魂ではないかと思うのです。」
ドラマでは「消えていくひとすじの煙」については語られていなかった。
また亡くなった主人公の雫さんは霊となったあと、叔父の家に現れて、そこで義理の妹にはその霊となった雫さんが見えて、いろいろと食卓でかわいらしく優しいやりとりをする場面があるのだが、これもドラマではなかった。
しかしドラマでは事故で両親を失った雫さんの叔父が父代わりとなり、その父に対して余命幾ばくもない自らの命を知った娘が父を思いやり、また父が娘を思いやる感動的な場面があるのだが、これは本にはない内容で、ドラマとして秀逸だったと思う。
いずれにしても、素晴らしい本だし、ドラマだった。
両方を鑑賞することをおすすめしたい。